撮像光学系のFナンバー
~幾何光学的定義と光線図による理解~
撮像光学系の F ナンバーは、画質や照度を左右する重要なパラメータです。本ページでは、幾何光学的定義を光線図とともに整理し、関連パラメータの関係を実務的観点からまとめます。
本ページでは、以下の規則を前提として議論を進める。
規則A: 符号規約
寸法表記については、付録:1次元ベクトルと角度における方向と符号の定義 に則り、上下方向は上向きを正、左右方向は右向きを正、回転方向は時計反対回りを正の向きとする。
規則B: 近軸領域の定義
本ページで扱う光線はすべて近軸光線とし、角度が十分小さいものとする。 即ち、角度をθとしたとき、以下の近似を適用する:
sin θ = θ, tan θ = θ, cos θ = 1
・撮像光学系のFナンバーの幾何光学的定義と関係式の導出
撮像光学系における F ナンバーは、照度、画質、被写界深度、ノイズ特性など多くの性能要素を左右する基本パラメータである。しかし撮像系では、レンズ単体の F ナンバーだけでなく、入射瞳位置、射出瞳位置、倍率、像側距離といった複数の幾何光学量が実効的な F ナンバーを決定している。本ページでは、撮像光学系における F ナンバーの定義から始め、光線図を用いて関連パラメータの関係式を体系的に導出していく。
ここで、入射瞳へ入射する光線と射出瞳から射出する光線を、その他の主要光線と重ねて図示すると、以下のようになる。

※規則A(符号規約)、規則B(近軸領域の定義)を適用
但し、
f: 焦点距離
z: 物体距離
z': 像距離
EP: 入射瞳位置
XP: 射出瞳位置
HD: 前側主点位置
HD': 後側主点位置
HH': 主点間距離
FFinf: 前側焦点位置
BFinf: 後側焦点位置
尚、これらの光学系パラメータの導出は、(PX) を参照のこと。
まず、Fナンバーを以下のように定義する。

このとき、以下のことが言える。

また、瞳倍率を以下のように定義する。

このとき、以下のことが言える。

これは、以下の光学パラメータで表すことができる。

また、倍率を以下のように定義する。

このとき、ニュートンの式から、以下のことが言える

ここで、実効Fナンバーを以下のように定義する。

このとき、これまでに示してきた式を適用すると、以下の実効 F ナンバーを表す式を導出することができる。

横倍率 β は物体や像の位置によって変化する量であるが、入射瞳径・射出瞳径は位置に依存しない。したがって、瞳倍率も物体位置や像位置の影響を受けない定数として扱える。
