・エリプソメトリーの定義式の導出
最初に、前編で用いた以下の値の範囲について調べる。

前編 (11)-②より、

n2 > n1 とすると、

よって、前編 (11)-①-3 より、

また、前編 (11)-①-3 と (13)-②-1 より、

(13)-②-1,2,3 と、ξi < 0 (∵前編 (11)-③-5) を踏まえ、n2 > n1 のとき、前編 (12)-②-1と(12)-③-1は振幅と偏角を用いて以下のように表すことができる。


ここで、式中の青色の箇所は、θ+ξrの値がπ/2未満のときは零、π/2より大きいときは-πになるような場合分けを式中に組み入れたものである。
また、ξr と ξi は 前編 (11)-③-5,7, (11)-④-5,7 のθの関数で与えられる。
この結果を適用することで、エリプソメトリーで定義されるフレネル振幅反射係数比ρは、位相差Δと振幅比角ψ(これらをエリプソメトリーパラメータと呼ぶ)を用いて、以下のように表される。

但し、位相差Δの定義域を、0≤Δ≤2πとする。(13)-④-2の値がこれを外れた際には、2mπ(mは整数)を加算して定義域に入るようにmの値を選べばよい。
例として、n=1.44, κ=5.23 のとき、θを変数として ψ, Δを計算すると以下のようになる。


・吸収がある媒質におけるp,s偏光の電界ベクトルの記述
ここで、改めて電磁波の式について振り返る。入射光のp,s偏光の電界ベクトルをそれぞれEip, Eis、入射光のp,s偏光の電界振幅ベクトルをそれぞれEAip, EAis、入射光の波数ベクトルを ki としたとき、前前編 (2)-①より、これらの関係は以下のように表される。

ここで、入射光のp,s偏光の電界振幅ベクトルの単位ベクトルを以下のように定義する。

このとき、(13)-⑤-1,2は以下のように書き換わる。

同様に、反射光のp,s偏光の電界ベクトルをそれぞれErp, Ers、反射光のp,s偏光の電界振幅ベクトルをそれぞれEArp, EArs、反射光の波数ベクトルを kr としたとき、前前編 (2)-①より、これらの関係は以下のように表される。

ここで、反射光のp,s偏光の電界振幅ベクトルの単位ベクトルを以下のように定義する。

このとき、前編 (12)-②-3, (12)-③-3 より、(13)-⑧-1,2は以下のように書き換わる。

・ エリプソメトリーにおけるp,s偏光の電界ベクトルの記述と図示
ここで、エリプソメトリーにおいては、入射光を以下のように設定する。

このとき、前編 (12)-②-3, (12)-③-3、(13)-④-1より、以下が成り立つ。

(13)-⑦-1,2は、(13)-⑪を適用すると以下のように書き換わる。

これは即ち、p軸(またはs軸)に対しπ/4(45°)だけ傾いた直線偏光である。この状態は、単色エリプソメトリーでは直線偏光のレーザを用いることで、また、分光エリプソメトリーでは白色光を偏光子に通すことで、実現できる。
また、(13)-⑩-1,2は、(13)-③の1,2 と (13)-④-2 と (13)-⑪ を適用すると、以下のように書き換わる。

よって、p偏光は時間軸で見た場合はs偏光に対しΔ/ω進んでいる。
以上を踏まえ、時間軸においてψとΔは以下のように図示できる。

こ こで、入射光の電界については、(13)-⑪の条件に加え、絶対値を1に規格化して示した。
このように、直線偏光の入射光に対し、反射で位相差Δが生じることで、反射光は一般的に楕円偏光となる。
Δの値に応じて偏光は下図のように変化する。Δ=0,πでは直線偏光で、それ以外では楕円偏光となるが、Δ=0,πの前後で右回りと左回りの向きが反転する。

更に、(13)-⑭-1a,2a はそれぞれ、以下のように表すこともできる。

よって、p偏光は空間軸で見た場合はs偏光に対しΔ/kr遅れている。
以上を踏まえて、空間軸においてψとΔは以下のように図示できる。

ここでも、入射光の電界については、(13)-⑪の条件に加え、絶対値を1に規格化して示した。