電磁波に関する様々な公式の導出
(吸収がない媒質の場合)
※数式の参照があちこち飛ぶので、参照先の数式を見たりするときは、複製した別ウインドウで見ることをお勧めします。
電磁波に関する様々な公式を、以下の流れで体系的に導出をしていく。全体を流れで理解することをお勧めする。
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パラメータの定義と関係式
まず、電磁波の各パラメータの定義について示す。

ここで、真空中の誘電率・透磁率は以下の定数である。

定義に基づく、各パラメータとパラメータ間の関係について示していく。
・光速は光が単位時間に進む距離であり、波長は光が一回振動する間に進む距離である。また、周波数は単位時間に光が振動する回数である。よって周波数は、光速を波長で割った値で表される。また、角周波数は周波数を位相で表したものである。

・波数は、単位長さで光が振動する回数を位相で表した量である。よって波長は、単位長さを波数で割り、2πを掛けた値で表される。

・特性インピーダンスは、伝送媒体(伝送線路や空間)を伝わる電磁波の電場と磁場の比率である。

・屈折率は、真空中の光速と媒質中の光速の比であり、媒質固有の値を持つ。また、屈折率の値は(メタマテリアル等の特殊なケースを除き)常に1以上の値である。

誘電率・透磁率と各パラメータの関係は、マクスウェルの方程式[1]より導出され、その結果は以下のようになる。

また、真空中と媒質中の角周波数 の間には以下の関係がある ( この関係は(3)-⑥で導出される )。
(3)-⑥を(1)-①に適用し、更に(1)-③をこれと統合して整理すると、以下の関係式が得られる。

また、非磁性の媒質では、透磁率は以下のように扱える。

このとき、(1)-④は更に以下のように書き換えられる。

(1)-④と(1)-⑥はそれぞれ、磁性・非磁性の媒質における電磁波の各パラメータの関係を示す式として、非常に重要である。
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電磁波の数式表現
電磁波は、以下のように表すことができる(マクスウェルの方程式から導出された結果のみ示す)[2]。
電界ベクトル:
磁界ベクトル:

電界と磁界の関係は以下で表される。

ここで、各ベクトル は以下で定義された量である。

また、(2)-②の第3式の中で、(1)-④から導かれる以下の関係を用いている。

(2)-②に示すベクトルの向きの関係を図示すると以下のようになる。

ここで、ベクトルの奥行き方法は以下のように表示できる。

…奥から手前へ
…手前から奥へ
これを用いると、(2)-②に示すベクトルの向きの関係は次のように表記できる。

(2)-①で表される電磁波を図示すると、以下のようになる。ここで、図を煩雑にしないため、ekz=0としたが、ekzが0でない場合についても同様に考えることができる。

また、位相の進みと電磁波の進みの関係について図示すると、以下のようになる。

このように、位置の進みと時間の進みで、位相が逆向きになっているため、位置成分と時間成分で、符号が反対となる。
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媒質間の伝搬における境界条件
以下の図に示すように、非磁性の媒質間の光の伝搬において、z=0平面を媒質間の境界面とし、電磁波が境界面に入射したときの、透過光と反射光について考える。

ここで、各パラメータの下付き添え文字は以下を意味する。
i : 入射光における値
r : 反射光における値
t : 透過光における値
入射光、反射光、透過光の電界と磁界は、(2)-①より以下のように表される。

ここで、境界面における電磁場の境界条件を考える。
z=0で電界の接線成分が連続となることより、

z=0で磁界の接線成分が連続となることより、

任意のx, y, t に対して(3)-②、(3)-③が成り立つための条件は、

このとき、(3)-②、(3)-③は以下のようになる。

(3)-④-3より、入射光・反射光・出射光のωは、下付き添え文字を外した共通のωで表すこととする。
また、このωは媒質に依存しないことから、以下のことも言える。
ここで、𝑘𝑖𝑦=0となる方向にy軸を決めても一般性を失わない。
このとき、(3)-④-1より、以下のようになる。
このことから、 𝑘𝑖𝑦=0となる方向にy軸を決めた場合、入射光・反射光・透過光は全てxz平面内にあることが言える。
また、電界・磁界はそれぞれ、入射面に対して平行に振動する成分(p偏光)と、入射面に対して垂直に振動する成分(s偏光)の和で表すことができるので、次の章ではこれらを分けて考えることとする。
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p偏光におけるフレネルの公式
z=0平面の媒質の境界面への入射において、電界が入射面に対して平行に振動する場合(p偏光)について考える。このとき、入射光・反射光・透過光の電界・磁界は下図のように表される。

下付き添え字の1,2はそれぞれ媒質の違いを表す。
電界と磁界の向きは、(2)-②に従って図示されている。
非磁性の吸収のない媒質間の伝搬とし、(1)-⑥が適用できるものとする。
図に示されている各ベクトルを成分表示で示すと、以下のようになる。

ここで、(1)-⑥より、

(4)-④-1より、

また、(3)-④-1(境界条件の解)、(4)-①(p偏光における波数の成分表示)より、

(4)-⑤、(4)-⑥より、以下の反射の法則とスネルの法則が求められる。

(4)-②③(p偏光における電界・磁界の成分表示)を(3)-②a, ③a(電界・磁界の振幅の境界条件) へ代入する。その際に、(4)-④-2(電界と磁界の振幅の関係式)と(4)-⑦-1(反射の法則)を適用すると以下が得られる。

よって、振幅透過率をtp、振幅反射率をrpとすると、以下のフレネルの公式(p偏光)が求められる。

ξ≠0のとき、(4)-⑨は更に、(4)-⑦-2を適用して以下のように表すこともできる。


θ=0のとき、(4)-⑦-2よりξ=0となり、このとき、(4)-⑨より、

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s偏光におけるフレネルの公式
z=0平面の媒質の境界面への入射において、電界が入射面に対して垂直に振動する場合(s偏光)について考える。このとき、入射光・反射光・透過光の電界・磁界は下図のように表される。

下付き添え字の1,2はそれぞれ媒質の違いを表す。
電界と磁界の向きは、(2)-②に従って図示されている。
非磁性の吸収のない媒質間の伝搬とし、(1)-⑥が適用できるものとする。
図に示されている各ベクトルを成分表示で示すと、以下のようになる。

ここで、(1)-⑥より、

(5)-④-1より、

また、(3)-④-1(境界条件の解)、(5)-①(s偏光における波数の成分表示)より、

(5)-⑤、(5)-⑥より、以下の反射の法則とスネルの法則が求められる。

(5)-②③(s偏光における電界・磁界の成分表示)を(3)-②a, ③a(電界・磁界の振幅の境界条件) へ代入する。その際に、(5)-④-2(電界と磁界の振幅の関係式)と(5)-⑦-1(反射の法則)を適用すると以下が得られる。

よって、振幅透過率をts、振幅反射率をrsとすると、以下のフレネルの公式(s偏光)が求められる。

ξ≠0のとき、(5)-⑨は更に、(5)-⑦-2を適用して以下のように表すこともできる。


θ=0のとき、(5)-⑦-2よりξ=0となり、このとき、(5)-⑨より、

p偏光の垂直入射とs偏光の垂直入射は同じ状態なので、当然ながら(4)-⑨'cと(5)-⑨'cは同じ式となる。
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エネルギー透過率とエネルギー反射率
z=0平面上の微小領域dxdyを単位時間に通過する入射光・反射光・透過光の体積をそれぞれdVi、dVr、dVtとする。これらを図示すると以下のようになる。



図より、dVi, dVr, dVt は以下のように表される。


よって、(6)-①,②と(1)-⑥より、z=0平面上の微小領域dxdyを単位時間に通過する入射光、反射光、透過光のエネルギー量はそれぞれ以下のように表すことができる。

よって、p偏光のエネルギー透過率 Tp とエネルギー反射率 Rp はそれぞれ以下のようになる。

これに(4)-⑨を代入すると、
