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  • 吸収がある媒質における電磁波の式

(EM1)-(2)-①, (EM1)-(2)-③, (EM1)-(1)-④より、電磁波の式は以下のように表すことができる。

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_129.png

よって、

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_025.png

ここで、屈折率nを複素数に拡張する。それにより、媒質による吸収の影響を数式で表すことができる。

(10)-① において屈折率nを以下に示す複素屈折率で置き換える。

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_130.png

ここで、κを消光係数(または、消衰係数)と呼ぶ。

このとき、

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_027.png

よって、光強度を I とすると、

吸収係数
電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_026.png

ここで、吸収係数αを以下のように定義する。

吸収係数の定義式

このとき、

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_012.png

これは、光強度が ekに対し指数関数的に減衰することを意味し、1/αは光強度が1/e倍になるまでの 0 からの光波進行方向への深さを表す。この深さを吸収長と言い、光が侵入できる深さの目安として用いられる。

吸収長の図示

​また、(10)-⑥を空間的に図示すると以下のようになる。

波数ベクトルと光強度の関係について図示

ここで、図の簡略化のため、ekz=0とした。

  • 吸収がある媒質へのスネルの法則の適用

媒質1の屈折率をn1、媒質2の屈折率をn2とする。また、媒質1と媒質2の境界面に対し、媒質1からの入射角をθ、媒質2への出射角をξとする。

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_014.png

(EM1)-(4)-⑦-2、(EM1)-(5)-⑦-2 で導出されたスネルの法則より、

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_016.png

ここで、媒質2を吸収のある媒質とする場合、(10)‐②と同様、屈折率n2を以下の複素屈折率で置き換えることで、媒質2による吸収の影響を数式で表すことができる。

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_131.png

このとき、(EM1)-(4)-⑦-2, (EM1)-(5)-⑦-2 の右辺は実数なので、等式を満たすためにはξも複素数でなければならない。これを以下のように表すこととする。

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_132.png

ここで、各パラメータの値の範囲を以下のように定める。

電磁波に��関する様々な公式の導出(吸収体)_046.png

(EM1)-(4)-⑦-2, (EM1)-(5)-⑦-2のn2, ξをそれぞれ(11)-①-1,2で置き換え、式変形すると以下のようになる。

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_133.png

ここで、(11)-①-3 と (11)-② より、

[ i ] θ = 0 のとき、

ξr = ξi = 0

[ ii ] θ ≠ 0 のとき、

ξr ≠ 0 and ξi ≠ 0 となることから、

​・ξi の導出:

(11)-②を式変形すると、

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_047.png

ここで、以下のようにおく。

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_048.png

​これを上式に適用すると、

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_049.png

X > 0, A > 0 より、

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_050.png

ここで、以下のように置く。

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_051.png

これを上式に適用すると、

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_052.png

​ここで、(11)-①-3 と (11)-② より、以下のことが言える。

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_053.png

よって、

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_054.png

​また、ξi は以下のように表すこともできる。

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_055.png

​ここで、(11)-①-3 と (11)-② より、以下のことが言える。

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_056.png

よって、

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_057.png

但し、ξi < 0  (∵ (11)-③-5)

​・ξr の導出:

改めて、(11)-②を式変形すると、

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_090.png

ここで、以下のように置く。

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_059.png

これと、前に示した (11)-③-1b を併せて、上式に適用すると、

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_060.png

Y > 0, A > 0 より、

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_061.png

ここでも、(11)-③-2a,b を適用すると、

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_062.png

​ここで、(11)-①-3 より、以下のことが言える。

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_063.png

よって、

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_064.png

但し、0 < ξr < π/2  (∵ (11)-①-3)

​また、ξr は以下のように表すこともできる。

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_065.png

​ここで、(11)-①-3 より、以下のことが言える。

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_070.png

​よって、

電磁波に関する様々な公式��の導出(吸収体)_069.png

但し、0 < ξr < π/2  (∵ (11)-①-3)

​・まとめ

以上の結果をまとめると、

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… (11)-③-5,7, (11)-④-5,7

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_072.png

… (11)-③-2a,b

  • 吸収がある媒質へのフレネルの公式の適用とエネルギー反射率

[ i ] θ=0のとき、

垂直入射においてはp偏光とs偏光は同じ状態なので、これらについてまとめて示す。

​(EM1)で導出した、垂直入射におけるフレネルの公式(s,p偏光)を改めて以下に示す。

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_082.png

​ここで、屈折率n2を、(11)-①-1に示す複素数に置き換えることで、吸収がある媒質に入射する場合の振幅反射率(s,p偏光)を以下のように表すことができる。

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_134.png

よって、(EM1)-​(6)-④,⑦より、吸収がある媒質に入射する場合のエネルギー反射率(s,p偏光)は以下のようになる。

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_136.png

[ ii ] θ≠0のとき、

・p偏光の場合

​(EM1)で導出したフレネルの公式(p偏光)を改めて以下に示す。

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_137.png

​ここで、屈折率n2と出射角度ξを、(11)-①-1,2に示す複素数に置き換えることで、吸収がある媒質に入射する場合の振幅反射率(p偏光)を以下のように表すことができる。

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n2>n1としたとき、(12)-②-1は、振幅と位相に分けて以下のように表すことができる。

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_200.png

​※(12)-②-2b-rは後に導出する。

ここで、式中の青色の箇所は、θ+ξrの値がπ/2未満のときは零、π/2より大きいときは-πになるような場合分けを式中に組み入れたものである。

ここで、振幅反射率(p偏光)rp は定義より以下のように入射光の電界振幅 Eip と反射光の電界振幅 Erp の比で表されるが、左辺を複素数に拡張しているので、右辺の電界の各振幅も複素数に拡張する必要がある。これを複素振幅と呼ぶ。

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_201.png

また、​(EM1)-(6)-④より、吸収がある媒質に入射する場合のエネルギー反射率(p偏光)は以下のようになる。

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_203.png

但し、ξr と ξi は (11)-③-5,7, (11)-④-5,7 のθの関数で与えられるので、(12)-②-1,2,4もθの関数である。

・s偏光の場合

(EM1)で導出したフレネルの公式(s偏光)を改めて以下に示す。

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_080.png

​ここで、屈折率n2と出射角度ξを、(11)-①-1,2に示す複素数に置き換えることで、吸収がある媒質に入射する場合の振幅反射率(s偏光)を以下のように表すことができる。

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n2>n1としたとき、(12)-③-1は、振幅と位相に分けて以下のように表すことができる。

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_206.png

​※(12)-③-2b-rは後に導出する。

ここで、振幅反射率(s偏光)rs は定義より以下のように入射光の電界振幅 Eis と反射光の電界振幅 Ers の比で表されるが、左辺を複素数に拡張しているので、右辺の電界の各振幅も複素数に拡張する必要がある。これを複素振幅と呼ぶ。

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_176.png

​また、(EM1)-(6)-⑦より、吸収がある媒質に入射する場合のエネルギー反射率(s偏光)は以下のようになる。

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_205.png

但し、ξr と ξi は (11)-③-5,7, (11)-④-5,7 のθの関数で与えられるので、(12)-③-1, 2, 4もθの関数である。

・角度範囲の導出

​(12)-②-2b-r, ​(12)-③-2b-r の導出をしていく。

まず、(11)-①-3 and θ≠0 and n2>n1より、

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また、(11)-② より、

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(12)-④-1,2 より、以下のことが言える。

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(12)-④-1,3 より、以下のことも言える。

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_212.png

​よって、(12)-②-2b-r, ​(12)-③-2b-r が示された。

・事例

波長589.3nmにおけるアルミニウムの屈折率を1.44、消光係数を5.23としたとき、空気からアルミニウムに入射したときの、入射角度θとエネルギー反射率の関係を、(12)-②-4, (12)-③-4を用いて計算すると、以下のグラフが得られる。

電磁波に関する様々な公式の導出(吸収体)_089.png

ここで注目すべき点としては、吸収のない媒質では、p偏光において、反射率が零となる角度のブリュースタ角があったが、吸収のある媒質では、反射率が零に落ちる角度がそもそもないので、反射率が零となる角度という意味でのブリュースタ角は定義できない。

  • ​あとがき

物理学と光学では慣習により位相の符号が異なる。ここでは物理学の慣習に基づいて示しており、これの光学の分野との違いについては以下を参照のこと。

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