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有限遠補正光学系の
フォーカス移動量

​有限遠補正光学系(有限共役光学系)においては、フォーカスを合わせる際の光学系の移動量が、フォーカス位置の移動量に対して異なる。ここでは、その関係式の導出を行う。

​有限遠補正光学系の倍率をβとすると、縦倍率の関係より、フォーカスの微小変化 Δ に伴う、物体面・像面のフォーカス位置の変化量の関係は、下図のようになる。

有限遠補正系レンズのフォーカス合わせに必要なレンズ移動量_015.png

​今、物体面を固定した状態で、像面のフォーカス位置を Δi だけ動かすのに必要な、光学系全体の移動量 di について考える。下図の(a)の状態から(d)の状態に移行する際、式(1)が成り立つ。

有限遠補正光学系のフォーカス合わせに必要なレンズ移動量

式(1)より、

有限遠補正光学系のフォーカス合わせに必要なレンズ移動量の縦倍率との関係

この関係式は、diとΔiが十分に小さいときのみに成り立つ近似式であり、これらの値が大きくなるにつれて誤差が大きくなるので、その点は要注意である。

β と di / Δi の関係を図示すると以下のようになる。等倍に近づくにつれて、Δi に対する di の値(絶対値)が急激に大きくなっていくのが判る。 

有限遠補正光学系のフォーカス合わせに必要な移動量の縦倍率との関係のグラフ

​同様に、像面を固定した状態で、物体面のフォーカス位置を Δo だけ動かすのに必要な、光学系全体の移動量 do について考える。下図の(a)の状態から(d)の状態に移行する際、式(2)が成り立つ。

有限遠補正光学系のフォーカス合わせに必要なレンズ移動量

式(2)より、

有限遠補正光学系のフォーカス合わせに必要なレンズ移動量の縦倍率との関係

この関係式は、doとΔoが十分に小さいときのみに成り立つ近似式であり、これらの値が大きくなるにつれて誤差が大きくなるので、その点は要注意である。

β と do / Δo の関係を図示すると以下のようになる。等倍に近づくにつれて、Δo に対する do の値(絶対値)が急激に大きくなっていくのが判る。 

有限遠補正光学系のフォーカス合わせに必要な移動量の縦倍率との関係のグラフ

​以上の結果から、等倍の有限遠補正光学系では、どんなにがんばっても、光学系の移動ではフォーカスを合わせることができないので、要注意です。

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